柏崎刈羽原発
柏崎刈羽原発

 東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。の経済効果を巡る新潟県の調査結果をどう見るか。原発と地域経済に詳しい京都大名誉教授(地域経済学)の岡田知弘氏(69)と、新潟大経済科学部教授(環境経済学)の藤堂史明氏(51)に聞いた。

◆京都大名誉教授・岡田知弘氏「経済効果は限定的、県民の意識に近い判断材料は提供されておらず」

 柏崎刈羽原発が再稼働東京電力福島第1原発事故を踏まえ、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。した場合の経済効果は、年にならせば440億円という結果だった。新潟県の一般会計の年間決算額は1兆円超で新潟市でも4000億円以上。それらに比べ、経済効果がかなり限定的であることが示されたと言える。

 計算はある枠組みの中できちんとされているように見える。しかし、能登半島地震後の県民の意識に近い判断材料は提供されていない。不確定要素ではあるが、起こり得る災害への視点が抜けて...

残り809文字(全文:1109文字)