
新潟県新発田市の街には「アヤメ」があふれている。学校の校章にも、マンホールにもアヤメの花。市内を走る循環バスは「あやめバス」。議場に敷かれたカーペットはアヤメ色だ。アヤメがそこかしこに根付いている。アヤメは市の花で、まちの象徴でもある。どうして新発田は「アヤメのまち」になったのか。初夏の風流な花をめでながら、謎解きを試みた。
(新発田総局・落合堂伊代)
仮説1:「菖蒲城」があったから…新発田城の別名から紐解く
史料や校歌にその名が…130年前にはもう浸透?
アヤメは1987年、新発田市制施行40周年を記念し、ハナショウブなどアヤメの仲間全体を指して市の花に制定された。制定を知らせる当時の市広報には、新発田城と、五十公野公園のアヤメ園の写真が掲載されている。
その新発田城は「浮舟城」「舟形城」「狐の...
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