新潟県に立地する東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。使用済み核燃料原発で一度使用した燃料。原発の燃料は原料であるウラン鉱石を加工し、焼き固めた「ペレット」と呼ばれるものの集合体で、使用後も見た目や形は使用前と変わらない。使用済み核燃料の中にはウランやプルトニウムなどのまだ燃料として使える資源が95~97%残っているとされる。の構外への搬出が9月24日、12年ぶりに行われた。冷やし続ける必要があり、全7基の各専用プールで保管されている使用済み核燃料。搬出にはプールの空き容量の逼迫(ひっぱく)状態を解消する狙いがあるが、今回の搬出を経ても貯蔵率は約80%と効果は限定的だ。

 柏崎刈羽原発の各号機の貯蔵率は、2024年3月末時点で約68〜97%となっている=表参照=。仮に再稼働東京電力福島第1原発事故を踏まえ、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。すれば使用済み核燃料はさらに増え、プールが満杯になれば運転は継続できなくなる。

 新潟県柏崎市の桜井雅浩市長はこうした事態を懸念。東電が再稼働を目指す6、7号機の貯蔵率を「おおむね80%以下にすること」を、再稼働を認める条件の一つに挙げる。

 今回の搬出は4号機の燃料が対象であり6、7号機の貯蔵率は減らない。東電は中間貯蔵施設への搬出とは別に、使用済み核燃料を敷地内の他号機へ移す「号機間輸送」も実施。9月6日からは7号機の380体を3号機へ移す作業を進めており、約97%だった7号機の貯蔵率を...

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