契約農家から仕入れたコメが並ぶ農産物直売所「百笑市場」。消費者との接点となり、ニーズを捉える場でもある=新潟市東区
契約農家から仕入れたコメが並ぶ農産物直売所「百笑市場」。消費者との接点となり、ニーズを捉える場でもある=新潟市東区

 米どころとして知られる新潟。海外での和食の広がりや国内での米価高騰・品薄などでコメに注目が集まる中、新潟県の資源であるコメを武器に、付加価値を高める動きが相次ぐ。おにぎりなどはインバウンド(訪日客)で人気を集め、誘客や活性化のコンテンツとなる可能性を秘める。重点企画「NEXTコンテンツ潮流」の第1シリーズは、コメを強みに、新たな発想や工夫で価値を創造するクリエーティブな動きを追う。(9回続きの2)

 こしいぶき、つきあかり、ミルキークイーン、みずほの輝き…。コシヒカリを中心にさまざまな品種のコメが並ぶ新潟市東区の農産物直売所「百笑(ひゃくしょう)市場」。「米杜氏(とうじ)」ブランドで知られる米販売「壱成(いっせい)」(阿賀野市)が運営し、契約農家が生産した良質で多様なコメが手に入るとあって多くの客が訪れ、次々に購入する。

 壱成は県内外の契約農家と直接つながり、消費者のニーズも反映しながら事業展開している。百笑市場も「直売所をつくってほしい」「コメだけでなく野菜も売りたい」という農家の声で開設した。早川典孝社長(56)は「直売所やおにぎり店など販売場所をつくり、市場ニーズを把握して生産現場に打ち返している」と話す。

契約農家から仕入れたコメが並ぶ農産物直売所「百笑市場」。消費者との接点となり、ニーズを捉える場でもある=新潟市東区

▽農家がもうかる仕組み提供

 壱成は新規就農者の育成や経営支援、独立の後押しも行う。

 農林水産省の「農林業センサス」によると、県内の総農家数は2010年の9万2287戸が20年には6万2556戸となり、約3割減少した。高齢化も進み、担い手確保が課題だ。農家が減って生産力が低下すれば、米屋の商品が減ることを意味する。

 壱成にも離農者から...

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