並んで立つ東京電力柏崎刈羽原発6号機(右)と7号機。再稼働を巡り、6号機が先行する可能性が浮上している(本社ヘリから)
並んで立つ東京電力柏崎刈羽原発6号機(右)と7号機。再稼働を巡り、6号機が先行する可能性が浮上している(本社ヘリから)

 原子力規制委員会カ原発推進を担う経済産業省から安全規制の役割を分離させ、原子力規制に関する業務を一元化した組織。東京電力福島第1原発事故を受けて発足した。国家行政組織法3条に基づき、人事や予算を独自に執行できて独立性が高い「三条委員会」として環境省の外局に位置付けられる。衆参両院の同意を得て首相が任命する委員長と委員4人で構成する。は2月28日、東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。6号機の安全管理ルールを定めた「保安規定」の変更を認可した。既に新規制基準東京電力福島第1原発事故を教訓に、原子力規制委員会が新たに策定した基準。原子炉などの設計を審査するために用いる。2013年7月8日に施行された。従来の指針などが見直され、炉心溶融や放射性物質の大量放出といった重大な事故への対策や、地震、津波対策を強化した。原発を再稼働させるためには新基準に適合していることが条件となった。審査は原子力規制委員会が行う。新たに建設される原発にも適用されるほか、既存の原発にも適用される。への適合性審査と、工事計画の認可は済んでおり、再稼働に必要な規制委の三つの審査が全て終了した。柏崎刈羽原発で審査完了は7号機に続き2基目。現地の工事などを経て、技術的には今夏にも再稼働東京電力福島第1原発事故を踏まえ、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。に向けた準備が整う。

 再稼働問題を巡ってはこれまで、最も早く審査が進んだ7号機を中心に議論が進んできた。しかし東電は27日に7号機のテロ対策施設の完成目標を従来の今年3月から「2029年8月」に大幅に延期する方針を表明。この施設の設置期限に当たる今年10月を過ぎると、7号機は施設完成まで運転できなくなるため、6号機の再稼働を先行させる可能性も浮上している。

 28日に終了した6号機の保安規定の審査では、6号機と7号機が同時に運転する際の運転員の配置や、トラブル対応などが議論された。

 東電によると、6号機では、審査と並行して行っている安全対策工事が8割程度、設備の状況などを確認する「使用前事業者検査」が5割程度まで進んでいる。2025年6月10日には核燃料の装塡(そうてん)を予定。規制委による確認が得られれば、技術的には8月にも再稼働が可能な状態となる見込み。

 保安規定の認可を受け、...

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