政府はコメの輸出目標を2030年に約35万トンにする方針案を示し、24年の4万6千トンに比べ8倍近く拡大させることを目指す。増やした輸出米を、コメ不足になったときに国内用に振り向けられるようにする狙いもある。国内需要の縮小を見越し、新潟県内でも企業や生産者グループがすでに輸出に取り組んでいるが、国内価格の高騰を受け、出荷量を確保できるかが課題となっている。(報道部・山本司)

 新潟農商(新潟市秋葉区)は10年以上前から新潟県産米の輸出に取り組んでいる。香港向けに40トンでスタートしシンガポールやモンゴル、ハワイなどでも販路を開拓した。和食ブームや円安などを追い風に24年は5070トンになり、1万トンまで増やす目標だ。新潟農商を含む新潟クボタグループは24年12月、農林水産省の「フラッグシップ輸出産地」に認定された。

 国内価格が低迷していた頃は、輸出用米に対する補助金を加えると国内価格と同水準だったため、輸出用米を作付けする生産者を確保できた。円安もあり、小林岳洋社長は「安価な外国産と価格面でようやく競争できる力が付いてきたところだ」と話す。

新潟農商の倉庫に保管されている輸出用米=新潟市秋葉区

 だが24年産米の国内価格が高騰したため、生産者にとっては輸出用米よりも国内向けの主食用米を作った方が多く収入を得られる状況になった。25年産の輸出用米の確保は見通せず、小林社長は「現地で値上げ交渉も行っている。生産者には長期的な視野に立ち、輸出用米を継続して作ってほしいとお願いしている」と明かす。

▽輸出米は「倉庫のいらない備蓄」

 10法人・個人でつくる...

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