経済や暮らしを支えている新潟県企業を業界ごとに紹介するシリーズ。今回は地域の台所として愛され続けている「ご当地スーパー」を紹介します!
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◆マルイ(本社見附市) 本土だけど佐渡産鮮魚が充実!

冷蔵ケースに、佐渡産のカサゴやノドグロなどの鮮魚がずらりと並ぶ。食品スーパーの「マルイ」は県内の本土に本部を構えるチェーンスーパーの中で唯一、佐渡市に店舗を持つ。この流通網を活用し、現地で仕入れた鮮魚や果物などを各店舗で取り扱っている。

マルイは見附市今町が発祥で、創業家である清水家の屋号から名付けた。元々は呉服店を営んでいたが、1966年に衣料品と食料品を扱う店に転換。71年に食料品に特化したスーパー1号店を、燕市の分水地区に開いた。
値下げ競争をするのではなく、良質な品を消費者に提供するのが基本路線だ。見附市や長岡市を中心に県内に26店舗ある。清水崇之(たかゆき)常務取締役(37)は「決して大きい規模ではない。価格競争に巻き込まれたら、絶対に勝てない」と強調する。
大手スーパーが扱わないような県内外のローカルメーカーの商品も仕入れており、佐渡産海産物もその一つだ。
海産物は、現地の仲卸業者から仕入れている。商品を積んだトラックが見附市の物流センターを出発し、佐渡店に納入した後に、空いた荷台に海産物を積んで、各店舗に配送する。帰りのトラックの有効活用も図っている。時期によっては、佐渡産のル・レクチエや柿なども積み込む。

昨年12月に新潟市西区にオープンした小針店は、佐渡産鮮魚に力を入れる。水揚げされたままの「丸魚(まるざかな)」を豊富に並べ、市場のような雰囲気を演出している。「鮮魚コーナーに直行する利用客が結構いる」。小針店の深沢貞幸店長(55)はそう話す。競合店がひしめく場所だが、他社との違いを明確に打ち出して顧客の獲得につなげている。
フランチャイズで全国展開されている移動スーパー「とくし丸」にも重点を置く。現在は43台が稼働し、全国でもトップクラスの台数だという。県内で稼働する約64%を占めており、年間約9億5千万円を売り上げている。
「買い物難民」を支援するだけでなく、利用客と関係を築いて細かなニーズに応える狙いがある。各自治体と地域の見守り活動に関する協定を結ぶなど、地域貢献にも力を入れる。
清水常務は「商品やサービスの価値を伝え、『マルイにしかない商品があるよね』と思ってもらえるような店づくりをしたい」と語る。拡大路線を歩まず、基盤強化を優先させる方針だ。
◆ハピー(糸魚川) 庶民の味方「シールマン」参上!
地元の人らでにぎわう店内。...