経済や暮らしを支えている新潟県企業を業界ごとに紹介するシリーズ。今回はスーパーマーケットを紹介します。人口減少による市場縮小という課題を抱え、経営統合や再編など生き残りをかけた動きが全国で加速する中、ニーズの変化を捉え、選ばれる店であり続けるため工夫を凝らしています。県内最大手のアクシアルリテイリング(長岡市)の原和彦社長・最高経営責任者=CEO=(58)に今後の業界の見通しや戦略も聞きました。

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 食料品や日用品を幅広くそろえるスーパーマーケット。セルフサービス式と呼ばれるおなじみの販売方式は、1957年に清水商事(当時、新潟市中央区)が開業した「清水フードセンター」が新潟県内第1号だ。商品ごとに対面で購入するのが一般的だったそれまでと違い、ワンストップで効率よく買い物ができるようになり、多くの消費者の支持を集めた。県内外の企業の参入で各地に広まり、車社会が到来すると、大型店が郊外に次々と開店した。

 小売業は「変化対応業」といわれる。顧客の生活スタイルや物価高などの社会情勢を捉え、需要に応じた品ぞろえやサービスが求められる。新型コロナウイルス禍では、外出の自粛で家で食事をする機会が増え、生活を支えるインフラとして存在感を示した。人手不足への対応のため、各社はセルフレジの導入などで省人化にも取り組む。

 県内最大手のアクシアルリテイリング(長岡市)は、傘下に原信(同)、ナルス(上越市)、フレッセイ(前橋市)があり、運営コストを抑えながら商品開発力でもスケールメリットを発揮する。

 下越地域が地盤のウオロク(新潟市中央区)は、2023年に上越地域に進出し、店舗網を拡大。契約農家からの仕入れを強みとするイチコ(上越市)なども独自色を打ち出して顧客を呼び込む。

 共働き世帯の増加で、時短調理や買ってすぐ食べられる「即食」ニーズも高まっている。清水商事を23年に吸収合併したイオンリテール(千葉市)は、冷凍食品や総菜が充実した新店を相次ぎオープンしている。

 消費者が飽きないように、各社ともバイヤーらが目利き力を磨いて商品を展開。顧客に選ばれる店であり続けるため、工夫を凝らしている。

◆原和彦CEO「M&Aも視野、目標は200店舗」

新社屋のオフィス内でインタビューに応じるアクシアルリテイリングの原和彦社長=長岡市中之島

 食品スーパー業界は人口減による市場縮小という課題を抱え、経営統合や再編など全国で生き残りをかけた動きが加速している。近年は物価高に伴い消費者の節約志向が高まり、価格競争も激しくなっている。アクシアルリテイリングの原和彦社長・最高経営責任者=CEO=に今後の業界の見通しや戦略を聞いた。(報道部・五十嵐南美)

 -物価高が続いています。消費者の動向に変化はありますか。...

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