県技術委員会の報告書について説明を受ける花角英世知事(左から2人目)。再稼働議論の材料の一つとしてきた=2月12日、県庁
県技術委員会の報告書について説明を受ける花角英世知事(左から2人目)。再稼働議論の材料の一つとしてきた=2月12日、県庁

 地震による被災、福島の事故、絶えぬ不祥事-。柏崎刈羽原発柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は主に関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に、6号機は2025年に全ての審査に「合格」した。7号機は2024年6月に技術的には再稼働できる状況が整った。1号機の運転開始から40年がたとうとしているが、この間、原発の存在意義や信頼感は変容している。今あらためて原発について深く考える。(3回続きの3)

 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働東京電力福島第1原発事故を受け、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。の是非について、花角英世知事は自らの結論を示した上で、県民の意思を確認するとしてきた。その手法を問われると、決まってこう答えてきた。

 「信を問う方法が最も明確で重い」

 ただ、「信を問う」が何を指すのか、核心までは過去一度も踏み込んでいない。記者会見では「決めているものはないが、字義的には存在を懸けるというニュアンスになる」と説明。進退を想起させる言葉を用いて覚悟を...

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