柏崎刈羽原発
柏崎刈羽原発

 新潟県の花角英世知事が東京電力柏崎刈羽原発の再稼働容認を表明した。これまでの議論の中で、経済産業省資源エネルギー庁などは、原発再稼働が電気料金を抑制する効果があると説明した。柏崎刈羽原発が再稼働したら、電気料金は下がるのだろうか。(報道部・鈴木啓予)

 そもそも柏崎刈羽原発は、主に首都圏などに電力を供給する東京電力の発電施設だ。発電された電力は首都圏方面に送電される。

 電力自由化で大手電力会社の管轄がなくなったとはいえ、供給エリアのすみ分けは大きくは変わっていない。事実上、東北電力の供給エリアにある新潟県では、柏崎刈羽原発が再稼働しても電気料金の低減に直接的な影響はなさそうだ。

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 国は日本のエネルギー事情について、燃料費が高騰している火力発電に依存しており、原発の割合を増やせば電力会社の燃料費が減り、電気料金の低下につながるとする。

 しかし、新潟県を含む東北電供給エリアでは、2024年10月に女川原発2号機が再稼働した後も電気料金は上がっている。

 東北電によると、女川原発再稼働に伴う燃料費の低減効果は24年度決算で260億円、25年度中間決算で350億円に上る。それでも料金が下がらない理由を尋ねると、東北電は女川原発の再稼働前に行った23年6月の電気料金見直しで、既に再稼働を前提に価格を設定したためだとする。

 この見直し時も料金は値上げされた。背景には燃料高がある。

 電気料金は、基本料金、電力量料金、賦課金の3要素で構成され、燃料費の動向は電力量料金に反映される。東北電はこの電力量料金の単価に原発再稼働によるコスト削減効果を織り込み、「値上げ幅は本来より抑制されている」と説明する。1カ月の使用量が標準的な1家庭当たり260キロワット時の場合は、月150円程度の負担軽減効果があるとの試算だ。

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 実は、東京電力の子会社で電力の小売りを手がける「東京電力エナジーパートナー」も、23年6月から既に電力料金に柏崎刈羽原発の再稼働を織り込んでいる。1家庭当たりの負担低減効果は月104円という。

 再稼働のめどが立たない段階からそうした対応を取ったことについて、東電は「顧客の負担軽減を図るための企業努力」と説明。実際に再稼働されるまでの間は利益が目減りすることも覚悟の判断だ。しかし、再稼働効果を「先食い」しているともいえ、柏崎刈羽原発の再稼働後に電気料金が下がるかは不透明だ。

◆エネルギー政策の専門家「再稼働と電気料金、分けて議論を」

 資源エネルギー庁は...

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