アイリスオーヤマが系列のホームセンターで販売した備蓄米
アイリスオーヤマが系列のホームセンターで販売した備蓄米

 流通・販売企業が、コメの生産から販売までの「商流」に本格的に関わろうとしている。政府の備蓄米放出を巡り、いち早く販売に動いたのが、生活用品大手のアイリスオーヤマ(仙台市)だ。東日本大震災後、仙台市の舞台ファームと共同出資で会社を設立。コメの精米やパックご飯製造に着手するなどコメに関わってきた下地があった。「令和の米騒動」を経て新潟県での集荷拡大を見据える。

 仙台市から約30キロにある精米工場は、5月末から備蓄米の取り扱いを開始し、順調な稼働が続く。政府による備蓄米放出は8月末までの販売を条件に小売業者に随意契約で行われ、アイリスでの販売は好調だ。

 プラスチック製品や家電などの製造業のみならず、問屋(ベンダー)機能も持つ独自のモデル「メーカーベンダー」をうたうアイリス。消費者のニーズを捉え、即座に商品に反映させる仕組みを強みとする。

 なぜ今回、スピーディーに備蓄米販売に乗り出せたのか。2013年、舞台ファームと共同出資で精米会社を立ち上げ、東日本大震災の復興支援を目的に4万2千トンのコメを保管できる精米工場を整備した。

 コメの鮮度に着目し、...

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