
岩間陽子・政策研究大学院大学教授
退陣表明に追い込まれた石破茂首相は外交・安全保障分野での存在感が希薄だった。岸田文雄前首相は国際社会に対して核軍縮の提案をしたり、ウクライナを訪問したりするなど、外交への強い意思と意欲を持っていた。だが、石破政権ではそうしたものが失われ、「外交不在」と言ってもいい状態を招いている。
世界は地政学的に大きく変動し、日本が外交・安保面でいくつもの課題に直面している中で、そのような姿勢は問い直されなければならない。
課題として真っ先に挙げるべきなのは、トランプ米大統領の再登場によって米国の信頼性が揺らぎ、世界の不確実性が増していることだ。この状況下で日本が外交・安保面で取るべき戦略は、米国だけに依...
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