人の縁とは人知を超え不思議で、趣のあるものだとつくづく思う。古今東西、同じように感じた人が多かったのだろう。「江戸いろはかるた」での「ゑ」は、「縁は異なもの味なもの」となっている
▼1940~60年代に活躍した米国のジャズシンガー、ダイナ・ワシントンが歌った「縁は異なもの(邦題)」は日本でもよく知られた名曲だ。一般的には男女の恋愛関係を指すようだが、それだけではないだろう
▼佐渡市に赴任していた15年前、佐渡金銀山の現地見学会の取材でたまたま感想を聞いた人とは、その後、共にマラソン愛好者であることから駅伝チームを結成した。市内の大会にも出場した。その御仁と先日、都内で開催された「金の道フォーラム」の壇上で一緒に仕事をすることになろうとは、まったく奇妙な縁だ
▼金の道は、江戸時代に佐渡で取れた金銀を江戸まで運んだルートだ。フォーラムには、北国街道や中山道で宿場街や関所を保存し、観光に生かそうと取り組む関係者らが集い、地域の活性化や連携策を探った
▼埼玉県の蕨(わらび)宿の参加者は、現地ガイドの説明に金の道を加えたいと述べた。世界文化遺産である「佐渡島(さど)の金山」の価値を今後も維持して広めるには、島外からの支援はありがたい
▼歴史を引き継ぐ活動の担い手不足を懸念している地域は少なくない。人口減少が進み、地方では交流人口や関係人口を増やす大切さが言われている。約400年前に金の道でつながった味のある縁を、末永く大切にしたい。
