昨年の「にいがた酒の陣」の様子=2025年3月8日、新潟市中央区万代島

 新たな生活が始まる春は酒を味わう機会も増える。酒はハレの日にも、日々の食事でも、口にする人を楽しませてくれる。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された伝統的な酒造りは、新潟県文化の一翼を担ってきた。酒蔵数は全国最多の91に上り、江戸、明治時代からの老舗も多い。

 同時に産業としての側面もある。消費量は全国トップ。国内出荷量も大手酒造会社がある兵庫県、京都府に次ぐ3位で、消費、生産の両面で酒どころとしての存在感を誇る。

 淡麗辛口ブームをけん引する新潟県酒蔵の高い技術力を支えてきたのは、多彩な人材育成の場だ。県酒造組合が運営する新潟清酒学校では、酒蔵で働きながら研修ができる。県の醸造試験場や、新潟大学の日本酒学センターも人材育成に貢献している。

 良質な酒を生み出してきた新潟県酒造界だが、取り巻く環境は厳しい。

 25年は主食用米の高騰が酒米の仕入れ価格にも波及した。県産酒米の五百万石は60キロ当たり1万6千円台から1万円以上上昇した。一方で、物価高騰で嗜好(しこう)品の酒はしわ寄せを受け、消費が減っている。県産日本酒の国内出荷量は減少を続け、24年は前年比4・2%減の3万1005キロリットルだった。

 県内では、この苦境に立ち向かう動きが出ている。高い技術を生かした新商品や高付加価値化への取り組みが、その一つだ。7、8の両日、新潟市中央区で開催される「にいがた酒の陣」には、若年層を意識したスパークリング日本酒など新感覚の品が並ぶ。フルーツなど副原料を使って新しい味わいを醸す「クラフトサケ」の人気が高まっているという明るい材料もある。

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