
吉村良一氏
2011年3月の東日本大震災で発生した東京電力福島第1原発事故では、多くの住民が福島県内外へ避難を余儀なくされ、国や東電に十分な補償を求める避難者が全国で訴訟を争ってきた。これまで、最高裁まで争われた新潟訴訟など13訴訟は全て、国の賠償責任が認められなかった。弁護団と協力し、避難者の訴えを支えてきた吉村良一・立命館大名誉教授(75)=公害環境法=は「最高裁は、政府の原発回帰の政策に沿う判決を出している」と語る。避難者訴訟の15年の変化を聞いた。(報道部・三浦穂積)
-新潟など判決が確定する訴訟が相次いでいます。
「最高裁第1小法廷は新潟を含む9訴訟の上告をまとめて棄却した。国の賠償責任については、これまで第2、第3小法廷が扱った訴訟も含め全て認めておらず、大法廷の判断が出たような形になった」
「避難者訴訟の判決を下級審も含めて振り返ると変遷がある。事故から数年後に出た下級審判決の中には国の責任を認めたものもあるが、その後なくなった」
-背景は。
「国のエネルギー政策の動向も影響している。境目は2022年に最高裁が4件の避難者訴訟に対して出した6・17判決。東電に防潮堤の設置を命じていても防げなかった可能性があるとして、国の責任はないとした。判決は政府が原発回帰にかじを切った時期とも重なる。その後は結論が同じ『コピペ判決』が続いている。判決には、...
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