ぶつかるほど人が多い東京・渋谷の街。県人がこのにぎわいの土台を築いた(写真映像部・渡辺善行撮影)

 若者が集う東京・渋谷の歴史をさかのぼると、そのにぎわいの源に本県出身者がいたことが分かってきた。佐藤豊蔵という人物だ。

 発見があったのは新潟市西蒲区。そこにある宇智古志(うちこし)神社の灯籠に「寄進人 佐藤豊蔵」と刻まれていることが分かった。添えられた「東京府渋谷」との文字から渋谷在住の人だと分かる。

 この豊蔵氏、本県側で詳しい人物伝を見つけることは難しいが、渋谷側には記録が残る。

 それは渋谷の地で銭湯「弘法湯(こうぼうゆ)」を営んでいた人物として残る。弘法湯を明治時代の1885年から営み、料理旅館も開いていた。

 これが評判となり「渋谷と言えば弘法湯」といわれるほど知れ渡り、渋谷町誌でも「著...

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