総工費約30億円の本社が完成し、さらなる飛躍を期した2008年。米国発の世界同時不況リーマン・ショックがJマテ.ホールディングス(上越市、JHD)を経営危機に陥れた。

 グループ企業の主要原材料となる銅の相場が急落し、売り上げが大きく落ち込んだ。社長の山本秀樹氏(72)は「一気に奈落の底に突き落とされた。倒産しても不思議ではなかった」と深刻さを語る。

 秀樹氏の長男で現専務の宏樹氏(43)は07年に入社。経営企画室の一員としてリーマン前はJHDの株式市場上場を検討していた。しかし、状況は一変する。「銅の在庫をたくさん抱え、月に何億円もの損が出た。社内の雰囲気も暗くなり、上場を考えられる状態でなく...

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