
「ツルネ」というアニメがある。聞き慣れないタイトルかもしれないが、矢を放つ際に弦が弓に当たって発する音を「弦音(つるね)」と呼ぶことにちなむ。高校の弓道部を舞台に、仲間たちと切磋琢磨(せっさたくま)する青春物語で、指先の所作まで丁寧に描いている。
「キャンッ」「ビシッ」とアニメで繰り返し響く弦音を聞くうち、高校時代に弓道部だった記者の記憶がまざまざとよみがえった。
入部当初はひたすら筋トレをしたこと。いざ道場に立って弓を引いたら、的まで届かなかったこと。初めて的に当たった時は飛び上がるほど、うれしかったこと。アニメで懐かしさを覚えると同時に、かつて夢中になった弓道の理解も一段と深まった。
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