
長く親交のある80代の知人男性が、とにかく元気である。いまだ仕事にまい進し、運動も食事も旺盛だ。この健やかさの源は一体どこに? そう考えて一つ、思い当たったことがある。この方が、若いころからのふんどし愛好家なのだ。
今回の取材で、足の付け根の上に位置する鼠径(そけい)部は、血管や神経、リンパなどが束になっている大切な場所だと知った。ここを化学繊維やゴムを使った下着で締め付けず、ふんわりとふんどしで守る。つまり全身の血の巡りなどが良く、新陳代謝が活発だということ。なるほど、若さを保つ一助が、ふんどしにはありそうだ。
実は近年、古式ゆかしいふんどしが再注目されている。女性下着で著名な大手衣料品メーカーが2008年、「ふんどし型ショーツ」と銘打ち販売。それと前後してインターネット上にはふんどしを扱う専門店が増え、カラフルな越中ふんどしや、パンツタイプの扱いやすい商品も登場し、男性はもちろん女性ファンも獲得している。
また締め付けがなく適度な保温力が体に良いということで、効果を実感した芸能人たちが声を上げ始めたことも人気の追い風に。2011年に設立された日本ふんどし協会は2月14日を「ふんどしの日(2=ふん、10=ど、4=し)」に制定。毎年、ふんどしの普及に貢献した著名人にベストフンドシスト賞を与えている。
さて、そんなふんどしに魅入られた女性が、新潟新発田市にもいる。綿の白生地を染めることから始まる彼女のふんどし作りには、あるドラマがあった。...
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