熱々のあんがたまらない「五目そば」

 寒くなってくると恋しくなるものがある。こたつ、燗(かん)酒、そして今回紹介する「あんかけグルメ」だ。熱々のそれをハフハフさせながら、頰張るのは至福の時。体の中から温まり、午後の仕事も乗り越えられちゃう、元気の源。そんな絶品の餡(あん)かけグルメを提供する新潟市内の3店を訪ねた。

小島岳大(酒ジャーナリスト・ライター)
撮影は写真家・渡部佳則

やっぱりコレ!人気は「五目そば」 具材、麺とも相性バツグン

広来飯店 学校町店(新潟市中央区)

 まず1軒目は、新潟市役所近くの「広来飯店 学校町店」(新潟市中央区)。創業は1964(昭和39)年。熱々のあんをかけた五目そば(990円)は1番人気のメニューだ。

 店を仕切るのは広野美代子さん(60)。共に店を切り盛りしていた、ご主人の篤さんが2011年に他界し、職人に調理を任せるスタイルになったそうだ。

 現在は、職人の育成も兼ねて、義兄で篤さんの実兄、広野泰俊さん(72)が週に1度ほど店の厨房(ちゅうぼう)に立つ。泰俊さんは、今はなき広来飯店の笹口店を切り盛りし、広来飯店グループの社長も務めていたが、高齢のため、一線を退いていた。

後進の育成も兼ねて、週に1度厨房に立つ、広野泰俊さん

 移転前の新潟県庁があったころは、「平日の昼ともなれば、今よりもずっとランチを求める数多くの人々があふれかえっていた」と泰俊さん。

 当時から人気の五目そばの具材は、豚肉、エビ、ウズラ、にんじん、タケノコ、キクラゲ、いか、小松菜、キャベツ、白菜、豚の腎臓。小松菜以外を油通しし、中華鍋へ。ここに小松菜も加え、油をまとわせていく。

 ここで加えるのが、店自慢の清湯スープ。香味野菜などのほか、粗塩も加えて煮ることで、コクと適度な塩気を出すようにしているのだそうだ。スープのうま味を食材に染み込ませたところで、しょうゆなどで味を整え、水溶き片栗粉でとろみをつけたら、用意しておいた中華そばにかけて、一丁あがり。

 やや濃いめの味付けのあんにより、甘みを強調された具材と、喉越しのいい麺が絶妙だ。あんかけのそばといったら、やはりこれだろう。

ランチ難民にはありがたい、通し営業
■広来飯店 学校町店
新潟市中央区学校町通2番町5294RaisonD’etre。午前11時~午後8時30分。日曜定休。025(222)2693

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