
能登半島地震で倒壊した菊谷紀道さんの実家(菊谷さん提供)
能登半島地震で甚大な被害に見舞われた石川県珠洲市の出身で新潟県上越市の会社員、菊谷紀道さん(45)が帰省中に被災した体験を新潟日報社に語った。珠洲市は震度6強を観測し実家は倒壊。「家族は全員無事だったが、あれほどの地震では生きるかどうかは運だと思った。今も恐怖が消えない」と打ち明けた。
菊谷さんは地震発生時、両親と妻、娘2人と海沿いの実家で団らんしていた。最初の揺れで父と娘2人は即座に外へ出たが、菊谷さんは1階の居間で妻や母と何を持ち出すか迷っていた。
その後の強い揺れで家は一部を除いてあっという間に倒壊した。菊谷さんらがいた居間は倒壊を免れたが、「立っていられないほどの揺れ。バリバリと音がして隣の部屋が崩れ、外の景色が見えたのはショックだった」。
靴を探し出し家を脱出すると、菊谷さんの車は崩れた家の下敷きになっていた。津波から逃れるため家族は実家の車に乗せ、菊谷さんは徒歩で内陸方面へ避難し始めた。
途中、幼なじみの男性と出会った。倒壊した家に父親が取り残されていると聞き、建物に向かって声をかけたが反応はなかった。その場に残ろうとする幼なじみの母親を「ここにいたらみんな死んでしまう」と必死に説得し、共に避難。父親は亡くなったと後で知った。
菊谷さんは「上越に戻った今も、天井が崩れるかもしれないと...
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