新潟県内市町村の首長から、柏崎刈羽原発で複合災害が起きたときの避難計画の実効性を懸念する声が相次いだ会合=2月23日、長岡市
新潟県内市町村の首長から、柏崎刈羽原発で複合災害が起きたときの避難計画の実効性を懸念する声が相次いだ会合=2月23日、長岡市

 地震や津波、大雪などの自然災害に東京電力柏崎刈羽原発の事故が重なった「複合災害」時、避難計画都道府県と市町村は、防災基本計画及び原子力災害対策指針に基づく地域防災計画を作成することが求められる。また、原子力災害対策指針に基づき、原子力災害対策重点区域を設定する都道府県と市町村は、地域防災計画の中で対象となる原発などの施設を明確にした原子力災害対策編を定めることになっている。新潟県の広域避難計画は、地域防災計画に基づき策定されている。の実効性は確保されるのかー。新潟県の全30市町村でつくる「原子力安全対策に関する研究会」の首長説明会が2月23日に開かれ、首長からは懸念が噴出した。国や県に対し、避難計画のさらなる検討を求める声が上がった。

 原子力規制委員会原発推進を担う経済産業省から安全規制の役割を分離させ、原子力規制に関する業務を一元化した組織。東京電力福島第1原発事故を受けて発足した。国家行政組織法3条に基づき、人事や予算を独自に執行できて独立性が高い「三条委員会」として環境省の外局に位置付けられる。衆参両院の同意を得て首相が任命する委員長と委員4人で構成する。は、能登半島地震の際、建物の損壊などで屋内退避原発の事故などにより、放射性物質が放出されている中で避難行動を取ることで被ばくすることを避けるため、自宅など屋内施設にとどまること。国は原発からおおむね半径5~30キロ圏に住む人は、放射性物質が放出された場合は「屋内退避」するとしている。屋内退避中は戸締まりや換気設備を止めることなどが必要となり、数日間継続することも想定されている。が困難だったことから、原子力災害対策指針自治体や国の機関、電力会社などの原子力事業者などが、原子力災害対策を円滑に進めるために定められた指針。原発などの施設周辺に住む住民が、緊急時に放射線による「重篤な確定的影響」を回避または最小化することを大きな目的とする。指針の目的には「住民の視点」に立った防災計画を策定することなどが書かれている。の見直しを指示した。2025年春までに...

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