東日本大震災の発生時、陸自第1師団長として災害派遣などの対応に当たった中川義章氏
東日本大震災の発生時、陸自第1師団長として災害派遣などの対応に当たった中川義章氏

 東京電力福島第1原発事故発生から13年、当時事故対応に当たった陸上自衛隊の元幹部3氏が新潟日報社の取材に初めて応じた。3号機の水素爆発に遭遇し、部下が負傷した厳しい体験や事故現場で得た放射線防護の教訓、原子力災害時の住民避難を巡る課題、安全保障面から必要な柏崎刈羽原発の備えについて聞いた。(論説編集委員・仲屋淳)=3回続きの2=

 東日本大震災が発生した3月11日は、人事異動の内示日だった。東京・練馬にある第1師団の師団長として午後2時ごろから、部下に内示し引き継ぎの打ち合わせを始めた。

 揺れの直後に副官が師団長室に飛び込んできた。副官が抑えていた大型のテレビモニターに、東北地方で地震とのテロップが流れ、その日の内示はとりやめた。

 第1師団は首都東京を...

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