県技術委員会の岩井孝委員が技術委での議論を説明した講演会=29日、新潟市中央区礎町通3
県技術委員会の岩井孝委員が技術委での議論を説明した講演会=29日、新潟市中央区礎町通3

 東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は主に関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に、6号機は2025年に全ての審査に「合格」した。7号機は2024年6月に技術的には再稼働できる状況が整った。の安全性を確認する県技術委員会新潟県が柏崎刈羽原発の安全確認を行うに当たり、専門家から技術的な指導や助言を得るために設置した委員会。原子炉物理や地震工学、品質管理の専門家ら11人で構成されている。正式名称は「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」。東京電力が柏崎刈羽原発や福島第1原発などで、重要な設備にひび割れがあるなどのトラブルを隠ぺいした問題を受け、2002年に設置された。の岩井孝委員(元日本原子力研究開発機構研究員)の講演会が3月29日、新潟市中央区で開かれた。岩井委員が技術委で指摘した点を解説し、東電の適格性について改めて疑問を呈した。

 市民団体「技術委員会に県民の声を届ける会」が主催し、35人が参加した。

 県技術委は2月、東電福島第1原発事故2011年3月11日に発生した東日本大震災の地震と津波で、東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の6基のうち1~5号機で全交流電源が喪失し、1~3号機で炉心溶融(メルトダウン)が起きた。1、3、4号機は水素爆発し、大量の放射性物質が放出された。を踏まえた柏崎刈羽原発の安全対策に関する報告書を、花角英世知事に提出した。

 講演会で岩井委員は東電の適格性について、柏崎刈羽原発でテロ対策上の重大な不備柏崎刈羽原発では、2021年2月時点で、侵入検知設備が計16カ所で故障し、うち10カ所は代替措置が不十分なため無断立ち入りができる状態だったことが判明した。原子力規制委員会は安全重要度を最悪レベルの「赤」と評価し、21年4月に柏崎刈羽原発での核燃料の移動を禁じる事実上の運転禁止命令を出した。20年9月には、運転員が同僚のIDカードで中央制御室に入る問題なども起きている。が相次いだ問題などから、「運転適格性があるとは言い切れない」との認識を示した。

 東電は2月、柏崎刈羽原発...

残り209文字(全文:509文字)