経済や暮らしを支えている新潟県内企業を業界ごとに紹介するシリーズ「にいがた業界地図」を始めます。県内にある多様な業界の中から毎月一つの業界にスポットを当て、主要企業のデータを紹介するほか、各社が磨いてきた技術や戦略、若手社員の活躍などを取り上げます。4月は米菓業界に迫ります。※上の図表は県米菓工業協同組合の加盟社。代表取締役呼称は省略。従業員数は2024年4月1日現在。

 赤ちゃんから高齢者まで楽しめる日本の味、米菓。米どころを背景とした本県メーカーは、業界で「新潟型」と呼ばれるソフトせんべいを武器に全国を席巻し続けている。本県の米菓出荷額は50年以上も全国トップを誇る。

 米菓はうるち米から作られるせんべいと、もち米を原料にしたあられ・おかきに大別される。

 コメをとぐ工程から焼いて味付け、包装まで、うるち米は1日から数日、もち米は1週間近くかかる。一つ一つの工程が完成品の風味や形に大きな影響を及ぼすため、各社はそれぞれの技術を培ってきた。

 米菓は元々、埼玉県名産の草加せんべいのような堅い製品が主流だった。明治時代以降に本県で創業したメーカーは、手作りによる家内工業から出発。長年職人の経験に頼るところが大きかったが、1950年代後半から業界と県が一体となって製造技術を確立し、全国に先駆けて機械化に成功。その躍進の足場を築いた。

 米菓全国トップメーカーの亀田製菓(新潟市江南区)をはじめ、現在県米菓工業協同組合に加盟するのは14社。1969年の発足時の3分の1に減ったが、出荷額に占める本県シェアは12%(67年、工業統計表)から49%(2022年、経済構造実態調査)にまで拡大した。

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