
経済や暮らしを支えている新潟県企業を業界ごとに紹介するシリーズ。今回は地域の台所として愛され続けている「ご当地スーパー」を紹介します!
◆キング(佐渡市) 大ぶりネタの寿司が人気!
イワシ10匹で150円、イナダの刺身大盛り480円-。佐渡市で4店舗を展開する食品スーパー「キング」は、新鮮な地魚を格安で取りそろえている。衣料品店も営む「かしわくら」が手がけるスーパーは、半世紀がたち地域で愛される存在になっている。

創業者の故柏倉義正さんが衣料品事業に加え、スーパー事業に乗り出したのは1974年。東京で見た先進的なノウハウや機器を取り入れた店舗に刺激を受け、佐渡の河原田本町に1号店を開いた。バーコード式レジをいち早く導入し、島のスーパーの草分けとなった。
競合店に先駆け、魚市場の競りに参加できる買参権を取得したため、仕入れ値を抑えられた。鮮魚は創業時から「薄利多売」が信条。創業メンバーで顧問の岡崎邦太(くにた)さん(81)は「キングといえば安いという印象は、この頃に根付いた」と懐かしむ。
水揚げされたままの丸魚(まるざかな)が主体だったが、現在は切り身などに加工した魚も多く並ぶようになった。鮮魚は総菜と合わせ、粗利益の6割を稼ぐ柱だ。中でも2年前から本格的に始めた生ずしが利益を支える。新鮮な地物のネタが載るシャリは大ぶりで、8貫800円程度のお手頃な価格でも消費者を引きつけている。

鮮魚の売り上げの4割以上を地元産で賄うのが目標だが、近年は島内の漁獲量減少が足かせになっている。仕入れコストの増加や人件費の上昇、ドラッグストアなど競合店の進出もあり、設備投資による効率化が欠かせなくなってきた。
打開策の一つとして予定されているのが、...
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