新潟県燕市で実ったバナナ

 雪国・新潟で、経費も手間も掛けないバナナ栽培の挑戦が続いています。新潟県燕市佐渡山で、ハスの苗などを生産販売する「フラワー華蓮」(燕市)代表の加藤正人さん(63)は、5年前から雪国で育つバナナづくりを模索。今年も1本の苗が7月に実を付けました。

 加藤さんがバナナ栽培を始めたのは、沖縄県の知人に勧められたのがきっかけです。「雪国でバナナなんて」と最初は思ったといいますが、「やってみないとわからない」と考え直し、2020年にまずは4品種の苗12本を取り寄せてビニールハウスで栽培を始めました。

バナナが大きな葉を伸ばすビニールハウス=燕市佐渡山

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 問題は、時に氷点下になる新潟の冬を越せるか。暖房を使うなどお金をかければ越冬は簡単ですが、加藤さんは「経費や手間をかけずに冬を耐えるバナナがあれば、育苗ハウスを活用するなどして農家の副収入になる」と考えました。

 以来、暖房を使わず、苗の茎に断熱材を巻いたり、もみがらで根元を保温したり試行錯誤を重ねてきました。だんだん寒さに強い種類は絞られ、40品種以上あったのが、現在は7品種くらいになりました。

 今年も広さ約148平方メートルのハウス内は、大小のバナナが巨大な葉を広げていますが、夏までに実を付けた苗は1本だけです。昨年びっしりと置かれていた背の低い品種の鉢植えは激減しています。

 「この冬は何も手を掛けなかったら、がーんと枯れたね。鉢植え苗150のうち、冬を越えられたのは1本だけ」と加藤さん。それでも「想定内」と涼しい顔です。...

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