
原発立地地域の避難道路整備など公共事業を財政支援する「原発立地地域の振興に関する特別措置法」(特措法)の対象地域を、政府が拡大する方向で最終調整していることが27日、分かった。現行では原発から半径10キロ圏内が対象だが、半径30キロ圏内に拡大する見通し。29日にも石破茂首相や閣僚が出席する原子力関係閣僚会議を開き、正式に方針を示す見込みだ。
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特措法の対象地域になると道路などのインフラ整備に対して、国の補助率がかさ上げされるなど地方負担が軽減される。現行の新潟県の支援対象は、東京電力柏崎刈羽原発柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は主に関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に、6号機は2025年に全ての審査に「合格」した。7号機は2024年6月に技術的には再稼働できる状況が整った。から半径10キロ圏(EPZ)内の柏崎、刈羽の2市村と隣接する長岡、上越、出雲崎の3市町の計5市町村となっている。しかし、東電福島第1原発事故後、新潟県で災害対策重点区域となった半径5〜30キロ圏(UPZ原発などで事故が発生した場合に防護措置を行う区域の一つ。原発からおおむね5~30キロ圏は緊急防護措置を準備する区域=Urgent Protective action planning Zone=とされる。放射性物質が放出される前に屋内退避を始め、線量が一定程度まで高くなったら避難などをする区域。5キロ圏はPAZ=予防的防護措置を準備する区域=という。柏崎刈羽原発の場合、柏崎市の一部(即時避難区域を除く全ての地区)、長岡市の大半、小千谷市の全域、十日町市の一部、見附市の全域、燕市の一部、上越市の一部、出雲崎町の全域が当たる。)内の小千谷、十日町、見附、燕の4市は、支援の対象外となったままだ。
避難道の整備を巡っては、柏崎刈羽原発から6方向に延びる幹線道路は国が全額負担することになっている。特措法の対象地域が拡大されれば、対象外だった自治体も幹線道路に接続する支線道路の整備で負担軽減が図られる。
花角英世知事は5月に対象拡大を政府に要望。6月には原発立地地域の知事で構成する「原子力発電関係団体協議会」(会長・中村時広愛媛県知事)の一員として、石破首相に直接働きかけていた。
政府は...