
県は6日、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に関する県民意識調査について、柏崎刈羽原発から半径30キロ圏内にある9市町村を対象にした集計結果を公表した。「再稼働の条件は現状で整っている」との問いでは、刈羽村を除く8市町で「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」とする回答が半数を上回った。一方、「どのような対策を行ったとしても再稼働すべきでない」との設問では、長岡市など4市で再稼働に否定的な回答が多く、刈羽村など5市町村では肯定的な回答が上回り、意見が分かれた。
調査は9月に実施。対象自治体は、原発から半径5キロ圏の即時避難区域(PAZ)の柏崎、刈羽と、原発から半径5〜30キロ圏の避難準備区域(UPZ)にある長岡、小千谷、十日町、見附、燕、上越、出雲崎の計9市町村。
全県調査と別途30キロ圏内の6千人に行った計8070人を対象とし、このうち4707人から有効回答を得た。集計では各市町村ごとに性別・年齢別の人口構成を踏まえて傾斜配分した。
柏崎刈羽原発の再稼働を巡っては運転を担う東電への信頼性も焦点の一つ。「東電が柏崎刈羽原発を運転することは心配だ」とする問いには、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を合計した回答は燕市77%、小千谷市74%など8市町で6〜7割を占め、最も低い刈羽村でも52%と半数を超えた。原発が近い地域でも東電への不信感を持つ人が依然多いことが浮き彫りになった。
30キロ圏内の市町村では、原発で事故が起こり放射性物質の放出の恐れが高まった際、屋内や屋外での避難が求められる。「柏崎刈羽原発で実施されている対策により、安全性はどの程度確保されているか」との設問には「十分確保されている」「おおむね確保されている」との肯定的な意見は刈羽村の58%が唯一半数を上回り、他の8市町は50%を下回った。
県は柏崎刈羽原発から半径30キロ圏内の住民を対象にインターネットでの追加調査を7日まで実施する。花角英世知事はネットでの追加調査の結果も踏まえ、再稼働の是非を判断する考えを示している。
◆安全・防災対策の認知度高いほど「条件整っている」の割合高く

県は6日、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働是非を巡り、県内30市町村を対象にした県民意識調査の分析結果を公表した。原発の安全対策や事故時の防災対策に関する認知度が高いほど「再稼働の条件は現状で整っている」と考える人の割合が高まる傾向があった。一方、「どのような対策を行ったとしても再稼働すべきでない」との設問では、対策の認知度と回答には目立った相関関係は見られず、賛否が拮抗(きっこう)した。

調査は9月に実施。対象は30市町村の計6千人で有効回答は3360人(56・0%)。本県の性別や年代別、地域別の人口構成を踏まえて傾斜配分した。
10月1日に公表された中間報告では「再稼働の条件は現状で整っている」との問いに対し、「そうは思わない」「どちらかといえばそうは思わない」が計60・4%に上った。一方、「どのような対策を行ったとしても再稼働すべきでない」との設問では賛否がほぼ半々となった。
調査では東電福島第1原発事故の教訓を踏まえて実施された原発の安全対策や避難道路の整備などの防災対策について、計14項目に分けて知っているかどうかを尋ねた。平均の認知度は4割程度だった。
6日に公表された分析では、対策の認知度別に回答者を四つのグループに分けて再稼働への考えとの関係性を調べた。
その結果、安全対策や防災対策を多く知っているほど「再稼働の条件は現状で整っている」と考える割合は高くなった。ただ、最も認知度が高い層でも、「どちらかといえばそうは思わない」「そうは思わない」は計50%を超えた。
「どのような対策を行ったとしても再稼働すべきでない」との設問では、対策の認知度が高まるほど、否定的回答や肯定的回答のどちらかに偏るといった傾向はなかった。ただ、認知度が高くなるほど「どちらかといえば」という層は少なくなる傾向があった。
男女別や年代別でも分析した。男性よりも女性が、若年層よりも高齢層が再稼働に否定的な割合が高くなった。
6日に県庁で記者会見した県原子力安全対策課の金子信之課長は「防災の取り組みは国や市町村と連携してやっていく。東電には安全対策の取り組みが伝わっていないので、もっとやってほしいと求めたい」と述べた。
(1)再稼働の条件は現状で整っている
(2)どのような対策を行ったとしても再稼働すべきでない
(3)東電が柏崎刈羽原発を運転することは心配だ
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