ゆうだい21の特徴などを鈴木憲和農相(右)に紹介したうおぬま小岩農園の小岩孝徳さん=2025年12月、農林水産省(写真映像部・立川悠平撮影)
ゆうだい21の特徴などを鈴木憲和農相(右)に紹介したうおぬま小岩農園の小岩孝徳さん=2025年12月、農林水産省(写真映像部・立川悠平撮影)

 「令和の米騒動」でコメ不足や米価高騰が課題となる中、生産性向上や高温耐性品種の開発を含め品種の在り方が注目を集めている。農政の転換期を前に、どのような品種が開発され、新たな「商流」を生み出そうとしているのか。国や新潟県、大学、企業がしのぎを削って開発する品種とその戦略を追い、市場変革への引き金となる動きを探る。(3回続きの1)

 2025年12月下旬、農林水産省の大臣室。鈴木憲和農相に、新潟県などの農家8人が向き合った。いずれも、茨城県で開かれたコメの食味を競う国内最大規模の品評会「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」の受賞メンバーだ。「ほとんどが『ゆうだい21』ですね」。受賞品種を見た鈴木農相は驚きの声を上げた。

 ゆうだい21は、宇都宮大の前田忠信名誉教授(82)が1990年に試験ほ場で見つけた、ひときわ大きい稲を基に開発され、2010年に品種登録された。名前には稲の「雄大」な印象と大学の略称「宇大」、21世紀の未来をつくるという意味が込められた。

 品評会には国内外から約5千点が出品され、最高賞18点のうち12点をゆうだい21が占めた。コシヒカリより暑さに強く、大粒で甘みがあり、冷めても粘りともちもちした食感が持続する特徴がある。近年コシを上回る成績を収めており、前田名誉教授は「年を経るごとに『日本一』という評価が高まっている」と喜ぶ。

 品評会での受賞は、農家のブランド力アップにもつながる。鈴木農相と面会した「うおぬま小岩農園」(魚沼市)の小岩孝徳さん(51)はコシを中心に作るが、品評会を視野に入れ、ゆうだい21も少量ながら生産している。小岩さんは需要動向にアンテナを張り、作付け規模の変更を視野に入れる。「ゆうだい21の知名度はまだ低いが、今後主流になる可能性もある」

◆他のブランド米にはない強い個性…中山間地農家と親和性も

 昨年12月、茨城県で開かれた「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」の会場。農業関係企業など約50社・団体が出展する中、宇都宮大のブースでは「ゆうだい21」の開発者である前田忠信名誉教授のもとに人が絶えず訪れた。全国の生産者が出来栄えを伝え、栽培の相談をしていた。

 ゆうだい21は...

残り2265文字(全文:3152文字)