水俣病の原因企業チッソの排水溝前にある地蔵を訪ねる旗野秀人さん(左)。川本輝夫さんの発案で新潟県の阿賀野川の石で作られた=4月、熊本県水俣市
水俣病の原因企業チッソの排水溝前にある地蔵を訪ねる旗野秀人さん(左)。川本輝夫さんの発案で新潟県の阿賀野川の石で作られた=4月、熊本県水俣市

 解決の糸口が見えない水俣病問題。全容解明や患者の救済に必要とされる健康調査はなぜ行われてこなかったのか、今後どのように被害と向き合うのか。健康調査を巡る歩みと調査の在り方を軸に、熊本と新潟の公害被害の現場から解決への課題を探った。(5回続きの3)

<2>高度経済成長期で経済優先、国の初期対応の遅れで惨禍広がる

 厳しい国の認定基準が壁となり、多くの被害者が認定申請を棄却されてきた水俣病。自治体が国の判断基準に沿って審査するが、その運用を巡り水俣病公式確認から70年の今春、二つの異なる司法判断が示された。疫学的知見の採用の可否が、二つの判決を分けた。

 3月の新潟地裁は、汚染地域で生活した人に感覚障害などの特有の症状があれば基本的に水俣病と認める疫学的な手法を採り、原告8人全員を患者と認めた。...

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