柏崎市内の11会場で行われた懇談会。柏崎刈羽原発の再稼働に関して、桜井雅浩市長と市民が意見を交わした=3月27日、柏崎市松波2
柏崎市内の11会場で行われた懇談会。柏崎刈羽原発の再稼働に関して、桜井雅浩市長と市民が意見を交わした=3月27日、柏崎市松波2

 東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。再稼働東京電力福島第1原発事故を踏まえ、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。規制委に審査を申請した原発のうち、2024年1月24日時点で12基が再稼働している。問題に関し、新潟県柏崎市内の11会場で行われていた市と市民の懇談会が、全て終了した。3月27日から4月6日までに各中学校区で開催し、参加者は延べ522人に上った。市民からは、地震などの自然災害と原発事故が重なる複合災害時の避難についての懸念や、再稼働の是非を判断する際に住民の意思を確認する手法について問いただす発言が相次いだ。

 能登半島地震により県内でも道路の寸断や津波などの被害が出たことを受け、複合災害時の避難に関する質問が多く出た。

 特に目立ったのは、避難道路の整備に関する質問だ。柏崎市は2023年夏、新潟県、刈羽村とともにスマートインターチェンジの新設など、5項目を国に要望したが、回答はまだない。

 比角地区で質問に立った男性は「道路整備などの...

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