東京電力柏崎刈羽原発柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。１号機から７号機まで七つの原子炉がある。最も古い１号機は、１９８５年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約８２１万キロワット。発電された電気は主に関東方面に送られる。２０１２年３月に６号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。７号機は２０２０年に、６号機は２０２５年に全ての審査に「合格」した。７号機は２０２４年６月に技術的には再稼働できる状況が整った。の再稼働東京電力福島第１原発事故を受け、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地２市村が「同意」する地元の範囲だとしている。に同意するのか、しないのか－。国からの要請を受け、新潟県は選択を迫られています。花角英世知事は県民の受け止めを見極めて判断すると公言し、その判断材料は間もなくそろう見通しです。再稼働の是非は知事の政治判断に委ねられていますが、肝心の新潟県民はどう考えているのでしょう。新潟日報の記者が全３７市区町村、県内津々浦々を訪ね、再稼働問題への率直な意見に耳を傾けます。５回目は新潟市南区です。
- これまでの回はこちらから
信濃川と中ノ口川にはさまれた新潟市南区は、面積の約７割を田畑が占め、コメや野菜、果物の生産が盛んです。９月１９日の昼下がり、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働について、南区役所を訪れた人に声をかけました。
◆農家が多く、風評被害は「ひとごとではない」
「できれば再稼働はしてほしくないですね」。生け花のサークル活動をしているという主婦の女性（７５）は表情を曇らせます。２０１１年の東電福島第１原発事故２０１１年３月１１日に発生した東日本大震災の地震と津波で、東京電力福島第１原発（福島県大熊町、双葉町）の６基のうち１～５号機で全交流電源が喪失し、１～３号機で炉心溶融（メルトダウン）が起きた。１、３、４号機は水素爆発し、大量の放射性物質が放出された。での住民避難や、その後の風評被害の記憶が強く残るといいます。「事故が起きれば風評で農作物が売れなくなる。周囲に農家が多く、ひとごとではない」と語りました。
近くで飲食店を営む６０代女性も福島県からの避難者について触れ、「今も帰れない人がいる。二度と繰り返してはいけない」と訴えます。「でも、...
