
新潟県の花角英世知事が、東京電力柏崎刈羽原子力発電所6、7号機の再稼働を容認すると表明しました。12月2日に始まる新潟県議会の定例会の場で自身が職を続けていいかどうかを県議会の判断に委ねる意向も明らかにしました。県議会が受け入れれば「地元同意」の手続きは完了となり、福島第1原発事故後初めて東京電力の原発が動くことになります。
そこで、新潟日報社は花角知事が再稼働容認の考えを示した臨時会見直後の11月21日午後6時から25日午後11時59分まで、緊急アンケートを実施しました。県内外の延べ7142人の方から回答をいただきました。ありがとうございました。集計が終わりましたので、結果をご報告いたします。

◆寄せられた意見を可視化すると…
花角英世知事の判断を「支持する」「支持しない」と回答した人の意見を、それぞれ「ワードクラウド」の手法を用いて解析しました。
助詞や接続詞など情報量の少ない語は除外し、特徴的な言葉を抽出して可視化しました。
出現頻度に加え象徴的な言葉だと生成AIが判断すると文字が大きく表示されます。
支持しないとした人は8割近くに上ったため、多様な言葉が集まりました。
支持するとした人は、端的な言葉で再稼働容認を表現した傾向が分かります。
◆花角知事の判断を支持しますか?
知事の判断を「支持しない」と答えたのは5597人と全体の78・4%に上り、「支持する」の1424人(19・9%)を大幅に上回りました。「分からない」は121人(1・7%)でした。

支持しない理由では「県民の過半数が再稼働できる状態ではないとしているのに、容認するのは県民の意思を無視する行為」(新潟県・57歳男性)など、県による県民意識調査の結果を踏まえ、再稼働を否定する意見が多く見られました。
「安全対策の認知度が高くなるほど再稼働に肯定的な意見が増えるというが、対策の履行や継続はできていない」(新潟県・51歳女性)といった指摘も目立ちました。
再稼働すれば柏崎刈羽原発の電力供給を受ける首都圏からは、東電福島第1原発事故に触れ、拒否感を示す声が上がりました。
千葉県の59歳女性は「福島事故後、古里を追われた人がどれだけいたか。福島原発から200キロ離れた松戸市も放射線量が高い『ホットスポット』になった」と書いています。
一方、支持するとした回答者は「日本におけるエネルギー情勢を考えると再稼働は不可欠」(新潟県・29歳男性)、「柏崎市の地域経済は衰退の一途。地域振興の観点から容認する市民は多い」(新潟県・53歳男性)などと、再稼働のメリットを強調しました。
◆「信を問う」方法として何がふさわしいと思いますか?
「信を問う」手法に何がふさわしいか改めて尋ねたところ、「県民投票」が7割超と突出しました。

「県議会では再稼働ありきの既定路線。知事の裏切りだ」(新潟県・81歳女性)、「自分たちの暮らす場所が危険にさらされる原発問題を議会だけで決めるのは、県民の理解から遠ざかる行為」(新潟県・32歳女性)と、知事の判断を批判する意見が大勢を占めました。
◆福島事故を起こした東京電力が再び原発を運転することに不安を感じますか?
アンケートでは、福島第1原発事故を起こした東電が原発を運転することに不安を感じるかどうかも尋ねました。
不祥事を繰り返す東電に批判的な意見が多く寄せられた一方、6、7号機が原子力規制委員会の審査に合格した実績を挙げて不安はないとする回答もありました。

東電は2021年に柏崎刈羽原発でテロ対策上の重大な不備など不祥事を相次ぎ起こし、大きな批判を浴びました。
新潟県が今秋実施した県民意識調査でも、東電による原発運転を心配だと感じる回答が約7割に上りました。
今回のアンケートでも同様の傾向が表れました。
延べ7142人中、「不安を感じる」は5931人(83・0%)で、「不安を感じない」は925人(13・0%)にとどまりました。「分からない」は286人(4・0%)でした。
新潟日報社の生成AIを活用して分析すると、不安を感じる理由は「原発の管理能力や安全性への懸念」「福島第1原発事故による信頼喪失」などに大別されました。
さらに、記者が回答全てに目を通した上で、多かったのは柏崎刈羽原発で繰り返し発生する不祥事でした。
「今も年中行事のように不祥事を起こしている」(新潟県・82歳男性)「先日も秘密文書の管理にずさんな点が見つかるなど倫理観が著しく欠落」(新潟県・50歳男性)などがありました。
福島原発事故を起こした当事者である東電に不信を募らせる声も寄せられました。
54歳女性は「福島事故の収束もできていないし、いつまでに事故処理を終えられるかも分からない」としました。
福島県在住という84歳男性は「福島の始末もつかないうちに…。福島県民には考えられない」と思いを記しました。
一方、不安を感じないとした理由は、AI分析によると「安全対策への信頼」「現場努力に対する理解」などに分けられました。
具体的には「事故の教訓を踏まえて、新(規制)基準に合格するだけでなく、東電独自の安全対策もなされている」(群馬県・22歳男性)、「一度(事故を)起こした経験があるからこそ、ハプニングや問題点などの蓄積されたデータを活(い)かせるはず」(新潟県・48歳男性)など、前向きな評価がありました。
原発再稼働について自由に記述できる部分では、柏崎刈羽原発が新潟県に立地しながら、主な送電先は首都圏という“ねじれ”に触れた意見が目立ちました。
新潟県の45歳男性は「首都圏のために新潟がリスクを抱えなければいけない理由を、明確に示してほしい」と指摘しました。
「この問題は明治時代から続く『表日本と裏日本』という中央と地方の上下関係を、改めて表に出した」(新潟県・50歳男性)との回答もありました。
意見まとめ
このページの後半では、寄せられた意見をさらに詳しくご紹介しています。...












