
東京・品川区は御殿山の閑静な住宅街に、知る人ぞ知る糸魚川ヒスイのミュージアムがある。名前を「翡翠(ひすい)原石館」という。館長で、都内でフィルター製造会社を経営する靎見(つるみ)信行さん(73)が、個人で収集・採取したヒスイを展示しようと20年前に造った。小規模館ながら私設ミュージアムとしては国内トップクラスの展示数を誇る。
京浜急行の北品川駅から御殿山ヒルズを過ぎ、ゆっくり8分ほど歩くと、総ヒスイ製の立派なプレートが出迎える。玄関から吹き抜けのホールに足を踏み入れると目に飛び込んでくるのは、ヒスイや大理石など10万個以上の石を使った高さ5メートルの「奴奈川姫(ぬながわひめ)」のモザイク壁画...
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