雑貨店「ノ縞屋」に続く路地の入り口。静けさが漂う=新潟市中央区上大川前通4(写真映像部・菊池雪那撮影)

 取材先は間違いなくこの辺りなんだけど…。携帯アプリの地図を頼りに周辺を行ったり来たりするが、なかなかたどり着けない。

 今夏、北欧食器などを扱う雑貨店「ノ縞屋(のしまや)」(新潟市中央区上大川前通4)を見つけるのに一苦労した。築90年ほどの木造長屋の一角。上大川前通りと本町通りをつなぐ細い路地に入り口はあった。

 店内をのぞくと、白壁に映えるアート、整然と飾られたビンテージのカップが目に飛び込んできた。外観からは想像できない洗練された空間に、驚いた。

 「別世界に来たみたいでしょ」と店主の野島剛さん(62)が迎え入れてくれた。お茶を飲みながら、野島さんが仕入れで訪れた欧州各国のエピソードを聞いていると、あっという間に時が過ぎた。

 「ここは静かで、ゆったりとした時間も提供できる。物を売るだけの場にしたくないんだよ」。野島さんの言葉に強い思いを感じた。

 路地にある個人商店には他にはない商品があり、魅力的な店主が多いといわれる。

 新潟市内の路地巡りが趣味という、新潟市江南区のまち歩きガイド団体「タウンウォークかめだ」の会長阿部和志さん(37)は「店主らに会いに行くこともまち歩きの楽しみの一つ。地域の歴史や文化を学ぶとともに、お気に入りの店をつくると、町との距離がぐっと近づきますよ」とアドバイスをしてくれた。

 身近な路地に知る人ぞ知る名店あり─。新潟市中心部などを巡り、こだわりを感じる店を探してみた。...

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