
東京電力ホールディングスの小早川智明社長は1月21日、新潟市中央区で新潟日報社のインタビューに応じた。東電柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。の再稼働について、技術的な準備はできているとし、「安全かつ地元の理解があれば、一日も早く稼働することが望ましい」と改めて意欲を示した。政府が原発を最大限活用する方針へ回帰したことに関しては、脱炭素化や経済成長を支えるエネルギーの一つとして「原発も維持していく必要がある」と述べた。
小早川氏は柏崎刈羽原発の再稼働について「地元の理解なしに進めることはあり得ない」と繰り返し、原発の安全対策の説明会など「理解を得るための活動をしっかり進める」とした。
同原発では2021年、テロ対策上の不備で原子力規制委員会原発推進を担う経済産業省から安全規制の役割を分離させ、原子力規制に関する業務を一元化した組織。東京電力福島第1原発事故を受けて発足した。国家行政組織法3条に基づき、人事や予算を独自に執行できて独立性が高い「三条委員会」として環境省の外局に位置付けられる。衆参両院の同意を得て首相が任命する委員長と委員4人で構成する。から事実上の運転禁止命令を受けた。23年12月に命令が解除された後も不手際は後を絶たず、花角英世知事は24年12月の県議会答弁でも、東電に対する県民の信頼が「損なわれている」との認識を崩していない。
小早川氏は「ミスはゼロにできないが、何かあったら立ち止まり、改善活動をしっかりやっていく」と強調。「花角知事から求められている通り、行動と実績を積み重ねるのが大事だ」と述べた。
東電は24年11月、原子力規制委員会がまだ審査中の6号機に25年6月に核燃料を装填すると公表し、県から「性急」と苦言を呈された。小早川氏は「情報が不足していたということであれば改善する」と述べた。
政府は24年12月に公表した「エネルギー基本計画」の改定原案で、東電福島第1原発事故2011年3月11日に発生した東日本大震災の地震と津波で、東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の6基のうち1~5号機で全交流電源が喪失し、1~3号機で炉心溶融(メルトダウン)が起きた。1、3、4号機は水素爆発し、大量の放射性物質が放出された。の発生後に維持してきた原発依存度を低減していく方針から、原発を最大限活用していく方針に転換した。
小早川氏は、今後増えるとされる電力需要に対応し、脱炭素も実現しながら経済成長するには「活用できるものはすべて、最大限活用する考えと理解している」と強調。「東電として、原発も再生可能エネルギーも含めた総力戦でエネルギーをつくらなければならない」と語った。
◆一問一答、柏崎市長求める廃炉計画「再稼働できていない中で言えない」
主な質問と回答は次の通り。...