本県関係国会議員に国への要望事項を説明する花角英世知事(奥の列左から2人目)=5月30日、東京
本県関係国会議員に国への要望事項を説明する花角英世知事(奥の列左から2人目)=5月30日、東京

 2026年6月9日に花角英世知事2期目の任期が満了する。初当選以来、東京電力柏崎刈羽原発柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は主に関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に、6号機は2025年に全ての審査に「合格」した。7号機は2024年6月に技術的には再稼働できる状況が整った。問題に向き合い続ける知事は、再稼働東京電力福島第1原発事故を踏まえ、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。に必要な地元同意新規制基準に合格した原発の再稼働は、政府の判断だけでなく、電力会社との間に事故時の通報義務や施設変更の事前了解などを定めた安全協定を結ぶ立地自治体の同意を得ることが事実上の条件となっている。「同意」の意志を表明できる自治体は、原発が所在する道県と市町村に限るのが通例。を巡り、自らの結論を示した上で「信を問う」と繰り返してきた。任期満了まで残り1年。政治生命が懸かるキーワードと、知事に注がれる関係者の視線から、花角県政を読み解く。(3回続きの3)

 2026年度の国家予算編成をにらみ県が作成した分厚い要望書。人口減少、医療、防災…。110項目にわたり国への「お願い」が並ぶ。最後の項目は、東京電力柏崎刈羽原発の安全対策を巡る要望だった。

 「実効性のある原子力防災対策の構築」「国策として原子力発電を進めてきた国の責任において、適切に対応されるよう求める」。文言の端々に県の切実な思いがにじんでいた。

 5月30日、東京の衆議院第2議員会館の会議室。花角英世知事はこの要望書を手に、...

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