第8弾 阿賀路

水森かおりさんご当地旅情

<下> 阿賀町編
日本一の将軍杉に感嘆

新潟日報 2022/04/27

 水森かおりさんが旅の終わりに訪れたのは、山々に囲まれ、豊かな自然が広がる阿賀町。町の中央を流れる阿賀野川に沿って国道49号を進み、まずは岩谷地区へ。お目当ては樹齢推定約1400年の「将軍杉」だ。

小雨が降る中、将軍杉と対面した水森かおりさん。荘厳なたたずまいに圧倒されていた=阿賀町岩谷
小雨が降る中、将軍杉と対面した水森かおりさん。荘厳なたたずまいに圧倒されていた=阿賀町岩谷

 将軍杉は、阿賀で晩年を過ごしたと伝わる陸奥鎮守府将軍・平維茂これもちにちなみ名付けられたという、幹回り19.31メートル、高さ約38メートルのスギの巨木。幹回りは日本一だ。近くには、国指定重要文化財の平等寺薬師堂もたたずむ。現在の建物は約500年前に再興されたものだといい、堂内は非公開だが、戦国時代の武士らが落書きを残している。

将軍杉の近くにたたずむ国指定重要文化財の平等寺薬師堂=阿賀町岩谷
将軍杉の近くにたたずむ国指定重要文化財の平等寺薬師堂=阿賀町岩谷

 小雨が降る中、「みかわ史探会」顧問の阿部明夫さん(88)が水森さんを出迎え、「将軍杉は町でなく、国に認められた天然記念物なんですよ」と紹介した。たくましくそびえ立つ将軍杉の姿に、水森さんは「すごく立派で迫力があった」と圧倒された様子。「神秘的で、パワーをもらえた気がする」と話した。

将軍杉
場所:阿賀町岩谷2242
落書庵
電話:0254-99-2639

趣深い雁木、絵付け体験も

 次なる目的地は、町の中心部に位置し、会津藩の西の玄関口として栄えた津川地区。旧津川町は「雁木がんぎ発祥の地」として知られ、江戸時代初期の大火後、津川城主であった岡半兵衛重政が建造を進めたと伝わる。町観光ガイドのうすき友一さん(67)の案内で、雁木が連なる一帯を歩いた。

 「この辺りでは雁木を『とんぼ』といい、はりのカーブが特徴です」と薄さん。津川の雁木の起こりは上越市高田地区よりも古く、1610年に造られていた記録が残っているという。

 明治時代にこの地を訪れた英国の旅行家、イザベラ・バードも目にしたという「とんぼの通り」を歩き、津川の歴史に触れた水森さんは「情緒があってすてきな場所でした」と感慨深そうに話した。

「とんぼ」と呼ばれる津川の雁木。曲線的な梁が特徴だという=阿賀町津川
「とんぼ」と呼ばれる津川の雁木。曲線的な梁が特徴だという=阿賀町津川

 最後に訪れたのは、きつね火伝説の舞台・麒麟山を望む「狐の嫁入り屋敷」。「つがわ狐の嫁入り行列」でおなじみの狐メークが体験できる人気の施設だ。旅の締めくくりに、狐面の絵付け体験に挑戦した。

 館長の大堀洋之さん(44)から説明を受け、いざスタート。「実は絵が苦手で…」と自信なさげな表情を浮かべる水森さんだったが、下絵もそこそこに、思い切った筆遣いを披露。「おでこが寂しいかな」「口元はにっこり笑わせよう」と筆を進め、1時間足らずで完成させた。

 ポイントは最後に描き足した黄色のひげ。大堀さんも「アクセントが効いていますね」とうなずいた。水森さんは「いつか狐のお化粧にも挑戦してみたいな」と興味津々だった。

 約15年ぶりに阿賀町を訪れたという水森さん。「初めて町をゆっくり巡ることができて楽しかった。歴史を感じる趣深いスポットがたくさんあって、人も温かい。またお邪魔したいです」と笑顔で語った。

どんどん筆が進む水森さん。「目力があるなぁ」と愛着が湧いた様子だった=阿賀町津川
どんどん筆が進む水森さん。「目力があるなぁ」と愛着が湧いた様子だった=阿賀町津川

雁木の通り
場所:阿賀町津川
問い合わせ:阿賀町観光協会
0254-92-0220

狐の嫁入り屋敷
住所:阿賀町津川3501-1
問い合わせ:阿賀町観光協会
0254-92-0220