運転開始から40年を迎えた1号機(写真中央の鉄塔の左)はじめ全7基が並ぶ東京電力柏崎刈羽原発。リスクが指摘される集中立地が続くのか、地元が求める一部廃炉へ進むのか。将来像はまだ見えない=16日、本社ヘリから
運転開始から40年を迎えた1号機(写真中央の鉄塔の左)はじめ全7基が並ぶ東京電力柏崎刈羽原発。リスクが指摘される集中立地が続くのか、地元が求める一部廃炉へ進むのか。将来像はまだ見えない=16日、本社ヘリから

 40年前の1985年9月18日、東京電力柏崎刈羽原発柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は主に関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に、6号機は2025年に全ての審査に「合格」した。7号機は2024年6月に技術的には再稼働できる状況が整った。1号機が、日本で31番目の商業用原発として営業運転を始めた。その後も原子炉を増やし、全7基が完成したことで総出力は世界最大規模となった。しかし今、柏崎刈羽原発は長期停止が続いている。東電が再稼働東京電力福島第1原発事故を受け、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。の準備を進める6、7号機に注目が集まる一方、1号機を含む他の5基は再稼働に向けた動きはない。柏崎刈羽原発の将来はどこへ向かうのか。(本社原発問題取材班)

 原子炉7基、総出力821万2千キロワット-。一つの発電所としては「世界最大級」というのが柏崎刈羽原発の金看板だった。しかし、2011年に東電福島第1原発事故2011年3月11日に発生した東日本大震災の地震と津波で、東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の6基のうち1~5号機で全交流電源が喪失し、1~3号機で炉心溶融(メルトダウン)が起きた。1、3、4号機は水素爆発し、大量の放射性物質が放出された。 が発生すると、見方は一変。多くの原子炉がひしめく集中立地は「リスク」と捉える見方が広がった。柏崎市の桜井雅浩市長も、1号機を含む5基のうち「1基以上の廃炉計画の明確化」を要求。東電は柏崎刈羽原発の灯がともってから40年の節目に悲願の再稼働を目指す一方、一部廃炉の検討も同時に模索する状況に追い込まれている。...

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