東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に同意するのか、しないのか-。国からの要請を受け、新潟県は選択を迫られています。花角英世知事は県民の受け止めを見極めて判断すると公言し、その判断材料は間もなくそろう見通しです。再稼働の是非は知事の政治判断に委ねられていますが、肝心の新潟県民はどう考えているのでしょう。新潟日報の記者が全37市区町村、県内津々浦々を訪ね、再稼働問題への率直な意見に耳を傾けます。
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赤く色づく山々に、送電鉄塔が並んでいました。柏崎刈羽原発で作られた電力は主に首都圏に送られますが、その通り道が十日町市を縦断していることはあまり知られていません。市内のリゾートが原発事故時に重要な拠点となることも…。10月31日、秋深まる妻有(つまり)郷を巡りました。
◆電気は素通り「もらえるわけじゃない」
市中心部から南に車を走らせると、水沢地区で信濃川を渡る送電線が見えました。田んぼの真ん中に立つ鉄塔には小さく「東京電力」の文字も。柏崎刈羽原発と首都圏を結びます。
近くで会社員女性(65)が家の庭木を手入れしていました。「送電線に電気が通ると音がするんですよ。『ビー』って」
女性は原発事故のリスクから再稼働に反対。頭上を送電線が素通りしていくのを横目に「電気をもらえるわけでもないし」とつぶやきます。
柏崎市との境に近い川西地域...
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