茂木健一郎さん(撮影・佐藤優樹)
 茂木健一郎さん(撮影・佐藤優樹)
 ノーベル物理学賞に決まったジョン・ホップフィールド氏(左)とジェフリー・ヒントン氏=10月8日(ノーベル財団のホームページから)
 ノーベル化学賞に決まった(左から)デービッド・ベーカー氏、デミス・ハサビス氏、ジョン・ジャンパー氏=10月9日(ノーベル財団のホームページから)
 人工ニューラルネットワークのイメージ
 AIによるタンパク質の立体構造予測(イメージ)
 ノルウェー・オスロにあるノーベル研究所=2022年10月
 対話型AI「チャットGPT」の画面と米オープンAI社のロゴ
 茂木健一郎さん(撮影・徳丸篤史)

 今年のノーベル物理学賞、化学賞はどちらも人工知能(AI)関連の研究に与えられることが決まった。対象となった研究の意味について考えてみたい。

 ノーベル物理学賞が授与されるのは、昨年、(一般に普及し)世界を驚かせた対話型の生成AI「チャットGPT」の背景にある、ディープラーニング(深層学習)の基礎を築いた2人の研究者だ。一方、ノーベル化学賞は、AIによってタンパク質の立体構造を予測した3人の研究者に決定。生命現象の理解や、創薬などに意味を持つ成果であり、そのインパクトは大きい。

 いずれの授賞も、その内容は掛け値なしに素晴らしい。従来の物理学賞、化学賞のイメージとかけ離れた情報関連の研究が対象にな...

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