
10月19日夜に新潟県上越市本町2で起きた火災は6棟を全焼し、80代の男性1人が亡くなった。21日に実況見分が終わり、焼失面積は約2660平方メートルと判明した。現場は雁木(がんぎ)が連なり、住宅などが壁を接して並ぶ建物密集地。付近の住民によると、わずかな時間で一気に火の手が上がった。2024年は高田地区の本町通りで火災が相次ぎ、これで3度目。上越地域消防局は、気温が下がり暖房器具を本格的に使う時期に入ることから「火の用心」をいっそう呼びかけていく。
本町2の火災は、19日午後9時43分、近くを通りかかったタクシーの運転手から110番通報があった。現場のはす向かいに住む眼科医石田学さん(40)は、通報時間とほぼ同時刻に火災に気付いたといい「午後9時半ごろに辺りを見た時には何事もなかった。あっという間に火に包まれたようだ」と話す。カーテンがオレンジ色に染まり爆発音が聞こえる中、家族と不安な夜を過ごした。
消防車両31台が出動。消防隊員や消防団の計172人が消火活動に当たり、雁木の上やはしご車からも放水した。壁を接して並ぶ建物が次々と火に飲み込まれ、連なりが途絶えた駐車場により延焼が食い止められた。鎮火したのは通報から約5時間後の20日午前3時前だった。
現場では21日も実況見分が行われ、激しく燃えた建物は軒が大きく崩れ、付近は焦げた臭いが漂っていた。本町2の副町内会長、涌井俊一さん(88)は「雁木がつながっていたらもっと火が広がっていた。春の火災と同じだ」と振り返る。
本町通りでは火災が相次ぐ。2月20日に本町6で、3月4日には本町1で発生。いずれも住宅やビルなどが密接し、今回と同様、駐車場で建物が途切れるところまで燃え広がった。雁木通りには、壁が接し屋根裏がつながっている構造の建物が多く、火事が燃え広がりやすい。

涌井さんは「一度火が出たら、正直手が付けられない」と声を落とす。
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