新潟日報社が情報公開請求で入手した過去の入札調書。今回事件となった入札の落札率と同じような数字が目立った
新潟日報社が情報公開請求で入手した過去の入札調書。今回事件となった入札の落札率と同じような数字が目立った

 2023年に発覚した新潟県新発田地域振興局農村整備部の官製談合事件新潟県新発田地域振興局が発注した農地区画整理工事の入札を巡り、業者に予定価格を事前に漏らしたとして、振興局の農村整備部長(当時)が官製談合防止法違反などの疑いで2023年9月に逮捕された事件。前部長はその後起訴され、24年1月に新潟地裁で執行猶予付きの有罪判決が言い渡された。共に起訴され、公競売入札妨害の罪に問われた建設会社の元顧問ら3人にも執行猶予付きの有罪判決が下された。を巡り、農村整備部の前身「新発田農地事務所」で所長を務めた70代男性ら複数の元県幹部が2月10日までに、県の情報漏えいについて証言した。

 「ヒントを出していただけ。チャンピオン(落札業者)を指定していたわけでもない。官製談合防止法も施行されておらず、罪の意識はあまりなかった」

 2023年、現職県幹部の逮捕という前代未聞の官製談合の舞台となった新潟県県新発田地域振興局農村整備部。前身の新発田農地事務所で所長を務めた下越地方に住む70代男性は、新潟日報社の取材に業者への情報漏えいの事実を認め、釈明した。

 情報を伝えた相手は今回の事件で業者側のまとめ役とされ、有罪となった男性という。2023年末、新潟地裁で行われた初公判の冒頭陳述で、検察側は当時の所長らが2001年ごろから、この業者の男性に予定価格を漏らしていたと指摘していた。

 元所長は予定価格自体を伝えたわけではなかったとしたが、所長室で業者側が見当をつけた額を聞き「それじゃ落ちない」「まだ余裕がある」などと教えたという。

 業者側と自身のどちらから最初の漏えいを持ちかけたかは覚えていないとしたが、前任者からは何も聞いておらず「自分から始まったと言えるかもしれない」と、淡々と語った。

▽農地行政に大きな影響力、背景に「黒川天皇」

 なぜ、漏えいをしたのか。元所長は...

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