モチーフ、色彩 今も新鮮

 「小学校5年生の時に児童画の審査に来られた帝展作家佐藤哲三先生との出会いが、絵の世界へ入る大きなきっかけとなりました。(中略)65年余、絵の世界にあって思うことは、『絵は肩書が利きません。従って、画家は今が全てです』」。2002年、画家関屋俊彦さんが画集に残した言葉です。新潟市に生まれ、96歳で亡くなるまで新潟で描き続けた関屋さんの展覧会です。

 「スペイン紀行から」(1976年)は、72年に唯一渡欧した時にスペインを描いた作品の一つです。「スペインとはこのような所ではあるまいかと、ひそかに心に描いていたそれよりも、はるかに心にしみる美しい街であった。一人歩きの異邦人である私にとって、その人情...

残り813文字(全文:1113文字)