素材とテーマ 個性光る

 彫刻展を見に行くと、石や木の塊を削る作品から展示空間全体を作品化するものまで、見る側がより作家側の意図に沿った鑑賞を求められるものが多くなってきた。

 20世紀に入りロダンで始まる世界の彫刻界は、一気に多様化した。日本では、佐藤忠良のブロンズや高村光太郎の木彫などフォルムの美しさ、力強さなどを求めてきた一方で、現代アートの草間彌生は水玉模様や鏡を使ったインスタレーションで国際的な評価を受けている。このような、多彩な表現で世界を見せてくれたのは1969年、神奈川県箱根町で彫刻の森美術館が「第1回現代国際彫刻展」を開催した時に始まる。

 県内を見回すと81年には「県彫刻会(県彫会)」が県内で唯一、彫...

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