福岡市で開かれた九州地方知事会=5月
 福岡市で開かれた九州地方知事会=5月
 南海トラフ巨大地震による津波発生に備えて行われた訓練で高台へ向かう人たち=1月、宮崎県川南町

 政府は、南海トラフ巨大地震の対策計画を改定し、想定死者数の8割減を目指すとの目標を掲げる。現行計画で進めた過去10年の対策効果は2割減。目標達成には大幅なてこ入れが必須で、改定計画の実効性が厳しく問われる。住民に避難行動をどう促すかが鍵を握る。独自の対策に動き出す自治体もある。

 ▽分水嶺

 今年3月。最大死者数を29万8千人とした政府の被害想定は各地に衝撃を与えた。東日本大震災を教訓に津波避難タワーや堤防の整備が進んだにもかかわらず、現行計画で目指した8割減には遠く及ばなかった。津波に際してすぐ逃げる住民割合を「20%」で計算したことが大きく左右した。

 被害想定を練り直していた昨年8月、日向灘...

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