
大林ミカ・自然エネルギー財団政策局長
三菱商事が秋田・千葉の3海域、合計170万キロワットの洋上風力発電事業から撤退すると発表した。中部電力の関連会社などと構成するコンソーシアムで2021年に落札した第1ラウンドの案件である。撤退の理由は、資材や建設費の高騰による採算性の悪化だ。国内の供給網が未整備で輸入依存度が高いため、為替変動の影響も大きかった。
もっとも、こうしたコスト高は日本固有の問題ではない。欧州でも撤退や入札ゼロが生じている。新型コロナのパンデミックやロシアのウクライナ侵攻による労働力不足や燃料費の高騰が背景にある。しかし欧州各国は、入札制度の見直し、入札上限価格の引き上げ、入札計画の明確化などを通じ、投資家の信頼を...
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