広島市の原爆資料館を訪れた天皇、皇后両陛下(当時皇太子夫妻)を案内する原田浩さん(手前左)=1996年10月(原田さん提供)
 広島市の原爆資料館を訪れた天皇、皇后両陛下(当時皇太子夫妻)を案内する原田浩さん(手前左)=1996年10月(原田さん提供)
 被爆体験を語る原爆資料館元館長の原田浩さん=5月、広島市
 被爆体験を語る原爆資料館元館長の原田浩さん=5月、広島市

 天皇、皇后両陛下は4月以降、戦没者慰霊のため硫黄島、沖縄を巡り、19日には広島へ向かわれる。「被爆者がいなくなったその時、私たちの言葉を刻み込めている人がどれだけいるか」。こう懸念するのは両陛下に原爆資料館を案内したことがある元館長原田浩さん(85)。戦後80年に際し、両陛下が体験者や若い世代と接し、記憶をつなぐ歩みを重ねる姿に触れ、平和への思いを共にしていると感じている。

 原田さんは1945年8月6日朝、家族と広島駅で疎開先に向かう列車を待っていた。8時15分。気づくとがれきの下敷きになっていた。爆心地から1・9キロの場所だったが、駅舎に守られ熱線と爆風を直接受けずに済んだ。恐ろしい勢いで...

残り638文字(全文:938文字)