被爆者の三田村静子さん(左)と、三田村さんの体験を伝える「交流証言者」の細井奏志さん(右)=6月30日、長崎市
 被爆者の三田村静子さん(左)と、三田村さんの体験を伝える「交流証言者」の細井奏志さん(右)=6月30日、長崎市
 被爆者三田村静子さんの紙芝居を使った講話を聞く「交流証言者」の細井奏志さん(右下)=6月30日、長崎市

 広島と長崎に原爆が投下されてから80年の節目の年に、被爆者の数が10万人を割り込んだことが明らかになった。近づく「被爆者なき時代」に記憶継承はどうあるべきか。若い世代の語り部育成や、体験記収集を通じた証言の掘り起こしなど、各地で工夫を凝らした取り組みが進んでいる。

 ▽10歳の証言者

 「ピカーッと何かが光り、強い衝撃を感じました」。6月30日、長崎市にある文化施設。東京都の小学5年細井奏志さん(10)は、被爆者三田村静子さん(83)の紙芝居を使った抑揚ある講話に熱心に耳を傾けていた。細井さんは被爆者から聞き取った体験を代わりに伝える「交流証言者」の一人。活動の勉強のため、母や姉と訪れていた。

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